出雲大社・釜社【重要文化財】
創建年
- 1667年(寛文7年/江戸時代中期)
大きさ
- 桁行一間(約2m)
- 梁間一間(約2m)
- 向拝(屋根が飛び出た部分の長さ)一間(約2m)
建築様式(造り)
- 切妻造り
- 妻入り
屋根の造り
- 檜皮葺
重要文化財指定年月日
- 2004年(平成16年)7月6日
御祭神
宇迦之魂神
社格
- 出雲大社・末社
格式(社格)は「本社>摂社>末社」となります。
出雲大社・釜社の読み方
「釜社」は「かましゃ」ではなく、「かまのやしろ」と読みます。
出雲大社・釜社の御祭神「宇迦之魂神」
「釜社(かまのやしろ)」の御祭神は「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」の子神で、「宇迦之御魂神」と書いて「うかのみたまのかみ」と読みます。
この御祭神は、食物を司る神様であり、別名で「保食神(うけもちのかみ)」と呼称されます。
伊勢神宮の外宮の「豊受大御神(とようけおおみかみ)」、もしくは全国にある稲荷社や伏見稲荷大社の主祭神「稲荷大神」と同体の神様としても有名です。
ちなみに「宇迦之御魂神」は女神(女性の神様)と考えられています。
出雲大社・釜社の役割
11月23日の夜、拝殿(はいでん)で執り行われる「古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)」では、この釜社より御釜を拝殿まで移動させて「御釜神事」が執り行われます。
古伝新嘗祭は、出雲国造の霊力を蘇らせる祭典(神事)であるとともに、神職が御釜の周りを巡る「御釜神事」によって「五穀豊穣(ごこくほうじょう)」への感謝と、来年の豊作の祈祷(祈願)するものです。
以上、これらが「釜社(かまのやしろ)」の名前の由来ともなります。
出雲大社・釜社の歴史・由来
釜社の創建年は1667年(寛文7年)の江戸時代中頃(将軍:徳川家綱)と推定されています。
なお、出雲大社の社殿群は国宝の御本殿と同時期に造営された建築物群が数多く現存しているため、江戸時代中期の殿舎の建築方法やメンテナンス方法などの歴史や手法を伝える貴重な資料として、価値が非常に高いと云われております。
そんなこともあり、2004年(平成16年)7月6日には国の重要文化財に指定を受けています。
釜社の建築部材は特殊
当該、釜社は修理中に瑞垣内の建物にしか使用されない建材が数多に発見され、調査により、1744年(延享元年/江戸時代)の造営の際に以前の建材が再利用されている事実が明らかとなった。
釜社の建築様式(造り)
この釜社は門神社の造りと非常に類似していますが、この釜社には欄干(らんかん)と縁(えん)が、御神体を安置する母屋部分を取り巻いています。
仏教建築では土間を用いた造りの建造物であるのに対して、神社建築では土間を用いずに母屋となる殿の部分を持ち上げて上げている様子が伺えます。
門神社の社格は、この釜社と同様、末社(まっしゃ)であることと比較して、釜社の方にだけ欄干と縁が据えられているのは、それだけ重要度を示すものだと察することができます。
ただ、別の考え方としては、江戸時代において釜社で祀られていた神様が別の神様であるという説も考えられます。
なにせ現在の神仏が分離された時代ではなく、神仏が習合した時代ですので、御祭神が違っていても何ら不思議なことはありません。
ところで「妻入り」って何?「切妻造り」や「平入り」って、どういう意味??
「切妻造り」とは?
神社建築やお寺の建築物を見ていると、建築造りの紹介によく「妻入」「平入」などという言葉が出てきます。
まず、「切妻造り」とは、「きりつまづくり」と読み、これは本をちょうど真ん中あたりで見開いて、それを屋根のない箱に覆い被せた時のような形状の建物の造りのことをいいます。
「妻入り」とは?
「妻入(り)」とは、出入口が付けられた方向のことで、屋根の方向によって決まります。
たとえば、上記の写真の建物のように屋根が垂れ下がっている方向が出入口ではなく、屋根がない方向が出入口となっている場合、この屋根がない方向が妻側(つまがわ)になります。
その妻側に出入口があるので、これは「妻入り」と呼称されます。
「平入り」とは?
では、屋根が垂れ下がっている方向に出入り口があった場合はどうなるのか?
これは「平入り」と呼ばれており、代表的な建造物に伊勢神宮の社殿群が挙げられます。
一方、その胸毛・・・あ、イヤ、「棟木(むなぎ)」!!・・に対して、平行となる建物の壁の面が「平」といいます。
そして、「入り」とは「出入り口」のことを指し示します。
つまり、妻側に出入り口があれば「妻入り」。
平側に出入り口があれば「平入り」と、なります。
チョィとここでクイズ!
上記の「釜社(かまのやしろ)」の画像(写真)を見て「妻入り」と「平入り」当てハメてみてください。
はたして、どちらかお分りになりますか?
出雲大社・釜社の場所(地図)
関連記事:島根県・出雲大社の境内の詳細「案内図(地図・マップ)」(ダウンロード可能)
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