出雲大社は、今や年間なんと!660万人もの観光客(参拝客)が訪れる神宮(=伊勢/年間約1500万人)に次ぐ、巡拝の聖地としてスッカリと日本人の生活に馴染んでいます。
しかし出雲大社には神宮をはじめとした他の神社とは異なった特殊な参拝方法が存在します。
出雲通なあなたであれば、もぅお分かりですね?
以下では、出雲特有の参拝方法を少しご紹介していきたいと思います。
項・一覧
そもそも「参拝(さんぱい)」とは何?どういう意味??
そもそも「参拝」と言う言葉の意味を知らずに参拝している方が、ほとんどだと思われますが、「参拝」と言う言葉の意味を、聞かれた時に言葉つまらずにスラスラと言えますか?
参拝とは?
参拝(さんぱい)とは、神社やお寺(寺院)、他には「教会」や「お墓」などで、神仏や祖先の御霊に祈りを捧げることです。
「参する」と書いて、「参加する。 参与する。 関与する。」を意味し、
「拝する」と書いて、「おがむ」「からだをかがめて敬意を表する。おじぎする。おじぎ。」
「神仏をおがむ。敬意をもって見る。ありがたがって大切にする。」
‥‥‥などと辞書を引くと最近の鼻毛の飛び出し具合ほどに素敵に出てく〜る。
祈りとは?
祈りとは、祖先の霊や神仏に対して「成就や回復」などの願い(祈願)をする行為のことを言います。
そして、この参拝には種類があり、その参拝の種類によって参拝の仕方や方法が変わります。
おおよその方が、参拝の手順やルールについては、深く考えないで何となく、周りの人のやり方をみて同じようにやっていると思われます。
参拝の正しい手順やルールを身に着ければ、神仏の徳(力)によって清められ、神さまのご加護を受けられますので、自分自身に自信が持てるようになります。
出雲大社の正しいとされる参拝方法
出雲大社の正式な参拝方法は地元では、まず御本殿を参拝した後、「反時計回りで境内を参拝する」のが正式な参拝方法と云われております。
また、上述で少しご説明しましたが、神宮を始めとした一般の神社では「2礼2拍手1礼」が基本となっています。
しかし出雲大社特有の参拝方法として、基本的に「2礼4拍手1礼」の作法に則って参拝します。
その他に出雲大社が特殊と言われるのは、「5月14日の例祭(大祭礼)」の時にはなんと!「2礼8拍手1礼」、つまりは「柏手(拍手)を8回打つ」からです。
なお、このような八拍手を打つことを「八開手(やひらきで)」と呼称し、実際のところは5月14日だけに限らずに出雲大社の神職はすべて「八開手」を基本の所作としているようです。
ただ、八開手は出雲大社に限った作法ではなく、日本の神宮として誰もが見知る「伊勢神宮」においても祭事のときは「八開手」の所作です。この上さらに神宮では立ち座りの動作を4度繰り返すことから総じて「八度拝」とも呼ばれます。
8回拍手をする理由とは?
ちなみに「8」の数字は古来、神道では「無限」を意味しており、例祭の時は「無限に近い心づもりで盛大に神様へお祈りを捧げる」と言った意味合いになるそうです。
通常の「2礼4拍手1礼」は、例祭の時の「2礼8拍手1礼」の拍手の回数を半分にすることで簡略化した参拝方法なのです。
実際に我々一般の見識でも広くら知られている「∞(無限の記号)」も、8を90度回転させたような形状をしています。
この8の起源になるものが、漢字の「八」です。日本においての八は「末広がり」を意味し、大変、縁起の良い漢数字として用いられる例が多く散見されます。
例えば、出雲大社の神在祭にて全国から主祭神である「大国主大神」と会議をしに訪れるとされる「八百萬神(やおよろずのかみ/数え切れないほどたくさんの神々)」が良い例です。
他に、「江戸八百八町(かつての江戸(現在の東京)には数え切れないほど町がある)」や、「嘘八百(ウソだらけ)」 があります。
このような8(八)の数字の由来は仏教が起源とされており、実際に、かつてこの島根県出雲大社の境内にも三重塔が建てられていたように8回柏手を打つのも仏教が盛んであった頃の名残と言えます。
出雲大社の正式とされる参拝ルート
(1)大鳥居(宇迦橋大鳥居)
出雲大社の大鳥居とは、旧大社駅の近くに存在する大きな鳥居「宇迦橋大鳥居(うがばし)」のことです。
鳥居とは神が祀(まつ)られている神域への入口ともなります。
また神道においては参道の中央は神様が通る神聖な道とも云われ、鳥居をくぐる時は参道の中央を通るのをできるだけ避けて左右の参道を通行します。
鳥居をくぐる時は神への敬意(けいい)を払って一礼し、左足から入ります。(神道では左足から入ります)帰途につく際は最後の鳥居の前で振り返って一礼します。
関連記事:出雲大社(IZUMO-OYASHIRO)・宇迦橋の大鳥居(UGABASHI-NO-O〜TORI)【登録有形文化財】
鳥居に関しての詳細は当サイトの以下↓の別ページにてご紹介しております。
(2)勢溜りの鳥居
おおよその方はこの「勢溜の鳥居(せいだまりのとりい)」から参拝を開始されます。理由は出雲大社前駅で一畑電車を下車したり、はたまた出雲大社周辺の駐車場に停めるとこの鳥居から参拝することになるからです。
この鳥居は出雲大社の第二の鳥居となり、出雲大社では「正門」と言われている鳥居です。
勢溜りの鳥居の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページでご紹介しております。
(3)祓社(はらえのやしろ) ※「2礼4拍手1礼」
二の鳥居である勢溜(せいだまり)の鳥居をくぐると、右手に「祓社」があります。
ここで、穢れ(けがれ)をきよめて頂きます。
※祓社は、勢溜の門を超えたすぐの、参道入口近くの「第一に参拝する社」となります。
したがって参拝者の列が発生してしまって混雑する場合がありますので、「2礼4拍手1礼」を行う際はすみやかに行い、次の参拝者の方へ順番をお譲りします。
祓社の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページでご紹介しております。
(4)参道(松並木の参道)
参道(さんどう)は産道(さんどう)につながるとされ、御本殿までの道のりを1歩進むごとに純粋無垢な赤子のように、薄汚ねぇ社会の喧騒に飲まれちまぃながら知らぬ間についちまった穢れ(けがれ)を祓って(はらって)くれると云われます。
また、参道の中央は神の通り道と言われています。参道を歩くときは神の邪魔にならないようになるべく道の左側を歩くようにします。
ただ、参拝者が大勢いる場合はこの限りではありません。
松並木の参道の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページでご紹介しております。
(5)手水舎(てみずや/ちょうずや)
御神前に進む前に、水舎(手水舎)にて両手と口を浄めます。
出雲大社での手水の作法(手順)
左手を洗う
まず、拍手を行う手を清めます。
そのため、片方の腕で柄杓を持ち、もう片方の手を清めます。
この時、古来からの伝統では右手で柄杓を持ち、左手を先に洗う(清める)のが習わしとされています。右手を洗う
左手と同じように次は右手を清めます。
口をすすぐ
お口をすすぐのは、特に口から入るとされる邪気を祓うためです。
左手に柄杓を持ち替えて、お水を注ぎ、右手で柄杓の水を受け、それを口に含みます。※直接、柄杓から口に含むのは厳禁です。2回目に柄杓を持った左手を清める
左手で柄杓を持ったまま、柄杓を建てて、左手と柄杓の持ち手に再度お水を流して双方を清めます。
柄杓を元の位置へ戻す
使用した柄杓は、伏せた状態で必ず元の位置へ戻します。
この時、斜め方向に置かずにキッチリと真っ直ぐに揃えて、他の柄杓と並行になるように静かに置きます。
※出雲大社を含めた手水舎での注意点※
- 水は飲まない
- 柄杓には絶対に口をつけない
- 軽く口をすすいだら、手で口元を隠し、口に含んだ水を真下の溝へそっと流す
出雲大社を含めた手水の作法(手順)のイラスト図
(6)銅鳥居
出雲大社の境内の正門入口となる鳥居です。上述、宇迦橋の大鳥居から数えて4つ目に立つ鳥居ということで「四の鳥居」とも呼ばれます。
この銅鳥居は戦国武将「毛利輝元」が奉納したという、ちょっとした曰くを持っており、由緒ある鳥居になります。
毛利輝元といえば関ヶ原の戦いにおいては西軍の総大将を務めた人物であり、豊臣政権においては太閤秀吉の五大老の1人を務めています。
銅鳥居の内側は「境内」と呼ばれる!参拝時間以外は進入不可!
ちなみに出雲大社ではこの銅鳥居の内側を「境内(けいだい)」と呼び慣わしており、御垣の内側には所定の参拝時間以外は進入不可となります。(門が閉じられます)
中には警備員さんもいるので参拝時間を過ぎて御垣の周辺で怪しい動きをしていると、声をかけられるかもしれませんゼ!
(6)拝殿(御本殿)
「2礼4拍手1礼」で参拝します。俗信ではお賽銭の額に10円(5円+5円でもNG)は、遠縁(とおえん=10円)に通じるので、縁起が悪いとされています。

お賽銭の額は5円玉や11円(イイ)41円(良い)45円(始終ご縁がありますように)などを入れるように心がけると良いです。
ただし、これらのお賽銭の額に関しては絶対ではありません。大事なのは気持ちです。
拝殿の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページでご紹介しております。
(7)八足門(はっそくもん):「2礼4拍手1礼」
八足門の中に御本殿がありますが、特別の日(正月の三が日など)や、「神に特別な願い事をする方(特別ご祈祷)」以外は入れません。
その為、門の前で御本殿をお参りします。参拝は「2礼4拍手1礼」です。
八足門の詳細に関しては当サイトの以下↓の別ページでご紹介しております。
(8)御本殿周辺の社殿群:「2礼4拍手1礼」
八足門前で御本殿をお参り後、御本殿周辺の垣根(かきね)を上述した通り、「左回り(反時計回り)」に進んで、順番に境内(けいだい)の殿舎をお参りします。参拝は「2礼4拍手1礼」です。⬆️境内の回り方地図(一例)
(9)御神体正面からの参拝:「2礼4拍手1礼」
写真やパンフレットで出雲大社の境内を見れば分かりますが、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)の「御霊(みたま)=たましい」がお宿りする本殿の正面の向きは「南向き」となっています。
しかし実際、御本殿の内部ではなんと!大国主神の御神体は「西を向いている」そうです。
つまり、通常の神社では鳥居や参道に対して、正面が神様のご鎮座される社殿となりますが、出雲大社では大国主大神が西側を向いておられますので「正式には西側が正面になる」と言うことになります。
そして、なんと!上記のような理由から出雲大社では御本殿の西側にも小さな遥拝場が設けられています。
但し、西側とは言っても西側は壁(瑞垣)になっていますので、その外側に上述の遥拝場があり、その前でお祈りをするといったことになります。参拝は「2礼4拍手1礼」です。
混雑時における「2礼4拍手1礼」の作法の仕方
普通の神社の参拝は「2礼2拍手1礼」が基本です。
ところが出雲大社では4拍手とします。
出雲大社の「2礼4拍手1礼」の正しい手順・順序
「2礼4拍手1礼」を放つ前に、大事なことを忘れていやしませんか?
何だかお分かりですか?
それは「帽子」です。
これは忘れがちな方が多いですが、帽子をカブっている方は必ず脱帽するようにします。
入室する時に脱帽するのと同じで、着帽したままでは神様に大変失礼です。
(1)御神前に姿勢を正して立ち、心を落ち着かせてから前に進み、お賽銭をお賽銭箱に静かに入れます。
(2)お賽銭を入れた後、鈴がある神社では鈴を鳴らします。そして背筋を伸ばしたまま、腰を90度に折って、2回おじぎをします。
(3)次に、両手を胸の高さまで上げて手のひらを合わせます。
(4)右手を少し下にずらし、拍手を4回します。(左手の中指の付け根に、右手の中指の先をあてる形で拍手すると、いい音がでるそうです)
(5)右手の位置を戻し、神への感謝や願い事などを述べ、静かに祈ります。
(6)もう一度、腰を90度に折って、1回おじぎをします。
出雲大社で拍手を4回打つ理由
実はこのような柏手を4回打つ神社は他にも、「宇佐神宮(大分県宇佐市)」などがあります。
しかしいったい何故4回打つのでしょう?
一説では、以下のような理由が囁かれているようです。
- 東西南北を守護するとされる「四神(しじん)」に対して敬意を示している
- 通常の2拍手を篤い崇敬の意味合いで2回行っている
- 1年(四季)を実りと繁栄を祈願している
しかし、いつ頃から柏手を4回打つことになったのか?など、4回打つ理由は現代に至っても解明されていないようです。
出雲大社の拝礼方法「2礼4拍手1礼」については、当サイトの以下のページ↓でもご紹介しています。
「拍手?」、 「柏手??」 「”拍手”と”柏手”の意味と由来」
「拍手」は「はくしゅ」と読むのが一般的ですが、実は「柏手=(かしわで)」とも言います。
あなたが幼少の頃、両親や親戚の叔父などと神社へ行って、鈴を鳴らし、手のヒラを合わせて音を鳴らし、最後にお祈りして・・これらの動作を言われるがままに、していたと言う経験はございませんか?
実は、この拍手にも由来や意味があるのです。
柏手(拍手)で「音を大きく鳴らす」ことは重要!
実はこの「柏手(かしわで)=拍手(はくしゅ)」で、音を大きく鳴らすことにより、悪意をはらい、神へのおそれうやまう気持ちを表すといわれているのです。
このため、柏手を打つときは、しっかりと音をたてることが求められます。
拍手が終わったてお祈りを捧げた後は、深く一礼(90度)して静かに神様の御前を離れます。
出雲大社に参拝する時の服装に決まりはある!?
出雲大社など神社にお参りする時には、服装にも気を付けたいものです。
基本的には普段の服装で問題ありませんが、以下のようなことに注意して選ぶと良いでしょう。
❤️広い境内を歩くので、歩きやすい服と靴を選ぶ
❤️境内には砂利が多いので、ハイヒール・ピンヒールの靴は避ける
❤️積雪がある場合は、雪道でも安全に・温かく歩ける服と靴を選ぶ
❤️神のいる神聖な場所に行くので、汚れた服・作業着・エプロンなどは避ける
❤️お願い事を聞いていただく神様に礼を尽くすため、華美な服・露出の大きい服を避ける
※露出の大きい服:肩の見える服(特に女性はオフショルダー、男性はタンクトップ)、ミニスカート、ショートパンツなど
つまり、動きやすく安全で、神様に対して失礼のない服装ということになります。
細かい決まりはありませんので、謙虚な気持ちで大切なお願い事をするのにふさわしいと思える服を選んでみてください。
白いものを身に付けると良い?
神社にお参りに行く、つまり神様にお会いしに行く時は、心身を清めた状態を表せる白い服が良いとされる場合もあります。
神職や巫女さんは、白い装束のことが多いですよね。
ただ、これも絶対の決まりではないので、気になる方はジャケットの下に着るシャツを白にしてみたり、ハンカチなどの小物に白いものを取り入れてみたりすると良いですよ。
八足門内に入る場合は服装に注意!
八足門の奥は御本殿なので前述の通り、通常は門をくぐって中に入ることはできません。
ただし、正月三が日や特別な祈祷の際、または旅行会社のツアーなどで特別拝観が組み込まれている場合など、八足門をくぐって昇殿参拝ができる場合があります。
この場合は、もちろん通常の参拝以上に、服装に気を遣う必要があります。
正装やスーツほどでなくても結構ですが、以下のような服装は避けてください。
- 露出の大きい服(タンクトップ・肩が見える服・肌が透ける服・ハーフパンツ・ショートパンツ・ミニスカートなど)
- 過度にカジュアルな服・靴(Tシャツ・ジーパン・カーゴパンツ・サンダルなど)
- 華美な服・靴(奇抜な色柄の服・ピンヒールの靴など)
なお、ブーツは問題ありませんが、汚れた靴や履き古した靴はできるだけ避け、靴下を着用するようにしてください。
また、冬は厚手のコートやジャケットを着用すると思いますが、ご祈禱(きとう)の際に脱ぐことになるかもしれないので、「見えないから大丈夫」と安心せずに、中に着るものにもある程度気を付けておくことをおすすめします。
特別に八足門をくぐれるという機会に、Tシャツにジーパンなどのふさわしくない服装で行くと、入場を断られてしまう場合があるので、十分にご注意ください!
神在月の「縁結大祭」にお出かけの方は、当サイトの以下のページ↓で、当日の服装の注意点を確認してください!
出雲大社・神在祭「縁結大祭(幸縁むすび祈念絵馬)」の受付場所・受付時間・申し込み方法・当日の服装など
終わりに・・
出雲大社の参拝方法は、古来からの参拝方法となりますので、他の神社よりも手間が増えます。
しかしその分、きっと良いご利益に授かれると信じて、正しい参拝方法を実行してみてください。
そして出雲大社ではあなた自身のためだけだけはなく、あなたの大切な誰かのために真剣にお祈りしてみてください。
もちろん、あなた自身の多少の努力も必要ですが、きっとその願いは叶うハズですよ。ウフ
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