出雲大社では、4つ目の鳥居の銅鳥居の左側に「御慈愛(ごじあい)の御神像」があります。
この像は「神」と「兎」の2体で構成されています。
「神」と「兎」と言う2体の構成の像と言うのは、実はこれには意味が存在ます。
つまり「御慈愛の御神像」の意味とは、「神が深い愛情で兎に接している像」と、いう意味になります。
この像は「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」神話の一場面を表しているようにも見えます。
出雲大社の白兎像の由来や歴史、意味とは?
ちょっと「御慈愛の御神像」を、よく見てみてください。
これは荷物を背負った「大国主神(おおくにぬしのかみ)」が、傷ついた「兎」に手を差し伸べている場面を表しています。
これは、この兎の像と大国主神の像は出雲に古くから伝わる神話「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」を表現したものだからです。
大国主神が出雲大社に祀られていることと、「縁結びの物語」とも言える「因幡の白兎」のお話しは、ある意味、縁結び信仰の出雲大社とうまく調和がとれています。
そのため、白兎像は出雲大社に置かれるようになったものだと考えられます。
【補足】「因幡の白兎」って何?『因幡の白兎の神話』
これは「大国主神」が、まだ、地上の神々のリーダーとなる前のお話です。
その頃「大国主神」は「大穴牟遅神(おおなむじのかみ)」という名前で呼ばれていました。
「大穴牟遅神」には、いじわるな兄弟がいて、その兄弟の名前を「八十神(やそがみ)」と呼びました。
「八十神」と言う名前の由来は、たくさんの神の兄弟が居たことに由来します。
この「八十神」たちは「因幡の国(鳥取県東部)」に住む、美しいと評判の「八上比売(やかみひめ)」に求婚をするため旅をしていました。
この時、「大穴牟遅神」は荷物持ちとして、最後尾を歩いていました。
やがて旅の途中で「気多(けた)の岬(鳥取市の「白兎海岸」)」に来たとき、「毛皮をはがされて泣いている兎」に出会うのです。
「八十神」たちは、心根が意地悪です。
意地悪なので、苦しんでいる兎の傷が、さらにひどくなるように兎に向かってこう言いました。
「海につかりなさい。そうして風にあたるのです。そして山で寝ていれば治る」
兎は「八十神」の言われたとおりにます。
しかし、かえって状態が悪化してしまい、兎は泣き叫んで痛がりました。
しばらくして「大穴牟遅神」が遅れて兎の前に現れます。
泣き叫ぶ兎を見て「大穴牟遅神」は兎にこう質問を投げかけます。
「そんなに泣き叫んでいったいどうしたのだ?」
兎は大穴牟遅神に理由を話します。理由を聞いた大穴牟遅神は兎にこう告げます。
「直ぐに川の真水で身体を洗いなさい。そして「ガマの穂」を敷いて寝ていなさい」
※注釈※「ガマの穂」の「ガマ」とは、小川などに生えている草のことで、その「穂」には傷薬として効果のある花粉が詰まっています。
兎は「大穴牟遅神」の言うことを信じて、その通りにします。
すると、なんと!身体がたちまちのうちに元通りになりました。復っカぁ〜っ!
この時、兎は何かを悟ったように「大穴牟遅神」にこう告げました。
「あの八十神たちは「八上比売」とは結婚できないでしょう。あなたこそ「八上比売」を妻にすることができるでしょう」
先駆けして八上比売に結婚を申し込んだ八十神
一方、「八十神」たちは先に「八上比売」のもとに到着し予定通り求婚します。
所がどっこい、兎が言った通り「八上比売」は「八十神」たちの求婚を断り「大穴牟遅神」との結婚を望んだのです。
それを聞いた「八十神」は「八上比売」ではなく「大穴牟遅神」に激しい怒りをおぼえます。
そこで「大穴牟遅神」にイジワルをしてやろうと考えます。
以後、「大穴牟遅神」は「八十神」から2度も殺されてしまいますが、その都度、母親や高天原の神々から生き返らせてもらいます。
以降も「八十神」たちイジワルは続きましたが「意地悪と言う試練」を乗り越えるうちに、やがて「大穴牟遅神」はイジワルを克服する力を身に付け、逆に兄弟の八十神を降伏させてしまいます。
この後、「大穴牟遅神」は葦原中つ国(現在の日本)を造り、地上の国の主「大国主」として君臨することになります。
後に天孫降臨(てんそんこうりん)によって、葦原中つ国を天照大御神に譲り(国譲り)、代わりに現在の出雲大社を造ってもらい「大国主大神」として祀られることとなります。
さらに補足「兎は毛皮を剥がされた理由」
一般的には上述のように「因幡の白兎(しろうさぎ)」として有名ですが、実は「因幡の素兎(しろうさぎ)」とも書くようです。
これは「毛皮を剥がされて身動きがとれなくなった兎」と言う意味合いがあります。
兎が毛皮を剥がされた理由は以下のような経緯があったからです。
ある時、因幡の国に行きたい兎がいました。
しかし今、兎がいる場所(隠岐島/おきのしま)から因幡の国に行くためには、海を渡る必要があります。
そこでとりあえず海岸まで行って考えることにしました。
海岸に到着した兎は、たくさんのワニザメと出会います。
ここで兎は一計を案じワニザメにこういいます。
「君たちワニザメは、自分たちがいったい何匹いるか分かるかい?」
「もし良ければ私が君たちの数を数えてあげようか?」
「じゃあ、この海岸から向こうの陸まで1列に並んでくれたまえ」
「私は君たちの頭を飛び乗りながら向こうの陸まで数を数えるから」
「向こうの陸地に着いたら、数を教えてあげる」
それを承諾したワニザメは向こうの陸地まで一列に並びました。
やがて兎が数を数え終えて向こうの陸地に辿り着いた時、突然、ワニザメが大きな口を開け、キバを立てて兎に食いつきました。
そして兎の毛皮を剥いでしまったのです。
ワニザメは兎にこう言いました。
「我々をうまく騙して海を渡りたかったのだろうが、そうやすやすとうまく事が運ぶものではない」
そう言って海の中へ消えていきました。
1人残された兎は、海は渡れたもの、毛皮が剥ぎ取られて肌がヒリヒリと痛み、陸地から一歩も動けずに泣き叫んでいました。
そこへ上述した八十神が兎の前に現れさらに兎は苦しめられることになります。
なお、この「因幡の白兎(素兎)」の神話にちなんで、新たに2014年の春に出雲大社境内に7体の兎の像が建てられました。
なんでも「出雲大社育英奨学生の卒業記念」だそうです。
その後、出雲大社からもさらに「兎像」が奉納されて増えています。
この兎の像たち、実に丸々としたキュ~トで可愛ぅいぃ~♥兎たちです。
色々な表情や仕草をしています。
境内だけでなく参道にもいますので、良ければ兎を探してみてください。
神苑にも何匹かユニークな兎の像が建てられています。
終わりに・・
もし、この因幡の兎を祀る神社があると言えば驚かれますでしょうか?
実は鳥取県鳥取市白兎には、「白兎神社(はくとじんじゃ)」と呼称される神社があります。
そしてこの神社ではなんと!上述の白兎が神として祭祀されているのです。(主祭神:白兔神)
またこの神社の付近周辺には「毛皮を剥がされた白兎が身を乾かした場所」や「身を癒した池」などもあります。
因幡の白兎にご興味が湧きまくった方は是非!白兎神社へ訪れてみてください。ウフ
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