出雲大社(IZUMO-OYASHIRO)・文庫(FUMIGURA)
創建年
- 不明
建築様式(造り)
- 方形造り
- 越屋根付
- 木造平屋建
屋根の造り
- 檜皮葺
出雲大社・文庫の読み方
文庫は「ふみぐら」と読みます。
出雲大社・文庫は何をしている所?「文庫の役割」
一般的に「文庫(ぶんこ)」とは、書物や古文書などを入れておく倉庫や、収集してまとまった蔵書などのことを指します。
この「文庫(ふみぐら)」という語は、書庫を意味する「ふみくら」に、漢字のふみ「文」とくら「庫」の二字を当てた「文庫(ふみくら)」に由来する和製漢語ということです。
出雲大社の文庫も、おそらく出雲大社に関係する歴史書や古文書、神道の書物などを保管する目的で造営されたものだと考えられます。
※出雲大社の「文庫」に関する資料はほとんどありません。定かなことは判りません。
出雲大社・文庫の建築様式(造り)
越屋根
出雲大社の文庫の姿を見て分かりますが、少し特徴的な屋根の形をしています。屋根が二重になっていてまるで2階建ての建造物に見えます。
しかし実際には2階建ての建造物ではなく、これは「越屋根」と言う屋根になり、1階建てで屋根が高いだけの建物になります。
越屋根を用いる理由
越屋根を用いることで室内に光や風を通し、逆に室内の湿気や熱を排出できるので温度を一定に保つことができます。
すなわち書物などの本を収納しておく倉庫に用いる造りとしては最適なのです。
ただ、越屋根の欠点として雨漏れに弱いということが挙げられます。越屋根は構造的に雨水が浸入しやすい造りをしているので、わずかな隙間部分の部材が著しく劣化したりします。
なお、このような越屋根を持つ建物は珍しいと思われがちですが、実は江戸時代の建築に数多く見られ、その特徴ともなっています。
江戸時代に越屋根が多く用いられた理由は、「囲炉裏(いろり)」が各家庭に配置されていたからです。囲炉裏からは煙が出るので煙を室内から排出する目的で上部に越屋根が設置されていたといったことになります。
これは言い換えれば、囲炉裏を室内に設置している家宅であれば、現代でも日常的に用いられていることになります。
ところで・・「屋根を葺く」とはどう言う意味??
出雲大社や神宮(伊勢)に訪れると「遷宮(せんぐう)」や「御修造(ごしゅうぞう)」の話を耳にすることがあると思います。その際、必ずと言って出てくる言葉に「檜皮葺き(ひわだぶき)」や「こけら葺き」といった言葉が出てきます。
「屋根を葺く」とは、単純に薄く細かくした木板で屋根を覆っていくことです。木板を薄くする理由は、何重にも被せて屋根を覆うためです。
竹釘
屋根を木板で覆い、尚且つ、耐久性を持たせるには木板を屋根に固定して止めておく必要があります。
そこで用いるのが主に「竹製の釘」になります。竹は水に強く、強度があります。そして何より育成速度が早く、わずか2、3ヶ月で10メートル以上に育つことから大量に釘を作ることができます。
現に出雲大社には64万枚もの檜皮が使用されている事実からももってしても、大量に作ることができる竹材は最適なのです。
他に竹材が利用される理由としては、森林の生態系を守るためでもあります。たとえば出雲大社のご修造をはじめ、伊勢神宮の遷宮などにも使用されるヒノキは最低でも樹齢200年以上は必要になります。またその量を確保するのが至難であることから、現在ではヒノキを植林する動きが活発になっています。
竹はおおむね、どこにでも根を張って繁殖することができるので、竹の繁殖によってヒノキが育つ環境を脅かしかねません。そこで生態系を維持する目的で竹材が使用されている見方もあります。
「こけら葺き」って何?
「檜皮葺き」は「ヒノキ(檜)」と言う樹木を使用して葺くので「檜皮葺き」と言います。
「こけら葺き」とは、漢字で書くと「杮葺」とされるように、檜皮を含めた色んな樹木を指す広義の意味合いがあります。
すなわち、とりあえず樹木の皮を使用して葺いたものを「こけら葺き」と呼んでいます。
【補足】「杮」と「柿」の違いに注意!
なお、インターネットなどのデジタル媒体で漢字を見ると、細部まで細かく見るのが難しいので勘違いされる方が多いのですが、「杮(こけら)」という漢字と「柿(かき)」と似ていますがまったく違う漢字です。
この漢字を混同してしまうと解釈に戸惑うことになりますのでご注意ください。
杮と柿については、漢和辞典で調べてみれば分かります。ウフ
出雲大社・文庫の場所(地図)
出雲大社の文庫は、東十九社の北方、御本殿の北東方向に位置します。
関連記事:島根県・出雲大社の境内の詳細「案内図(地図・マップ)」(ダウンロード可能)
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