出雲大社(IZUMO-OYASHIRO)・大歳社(OTOSHI-NO-YASHIRO)【境外・末社】
創建年
不明
再建年
1744年(延享元年)※江戸時代後期
2003年(平成16年)
2017年(平成29年)
建築様式(造り)
切妻造
平入
屋根の造り
板葺
御祭神
大歳神
例祭日
1月13日
9月13日
10月30日
社格
出雲大社境外末社
格式(社格)は「本社>摂社>末社」となります。
出雲大社・大歳社の読み方
大歳社は「おおとせのやしろ」もしくは「おおとししゃ」と読みます。
出雲大社・大歳社の御祭神「大歳神」
大歳神の父神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)となり、これは出雲大社の御祭神「大国主大神」とは兄弟神と言う位置づけになります。
しかし素戔嗚尊には他にも妻が存在しており、大山祇神(おおやまつみのかみ)の娘神「神大市比売(かむおおいちひめ)」がその妻であり、この神大市比売との間に「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」との間に以下のような神が生まれています。
- 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
- 大歳神(大年神)
つまり、大国主大神とは異母兄弟という間柄になります。
宇迦之御魂神とは、伏見稲荷大社の稲荷大神のことであり、さらには神宮(伊勢)の外宮にご鎮座されている「豊受大御神(とようけおおみかみ)」と同じ御神体であります。
大歳神の神の名前の由来と理由
大歳神の「歳(年)」は、諸説ありますが、一説では祈年祭(きねんさい)を指し示していると云われております。
その他の説では「冬に種を蒔いて、初冬に稲が成り、その稲を収穫をして正月に神々にお供えする」・・つまり、この「稲」のことをも指すと云われています。
そんな由来から「稲作の神様」や「五穀豊穣の神様」とも云われています。
また正月に稲を供える縁起から歳神様(年神様)や年徳神(としとくじん)と同じ神様とも云われております。
地域によっては「お正月様」「恵方神さま(えほうじんさま)」とも呼称されるようです。
ちなみに大歳神の御子神の宇迦之御魂神は、大歳神以上に五穀豊穣と農業神として有名です。
しかし大歳神も負けじ劣らず、たくさんの女神と縁を結んで多くの子神を誕生させています。
大歳神のご利益
上述のような由来から年の瀬にどこからともなくやってきて、翌年の五穀豊穣と家内安全、一家繁栄をもたらしてくれる神様だと云われております。
出雲大社・大歳社の建築様式(造り)
大歳社の社殿の造りは、他の出雲大社境外の摂末社の造りとは一線を画した造りになっています。
どちらかと言うと、質素で簡素な仏教風の素木造りの小さな覆屋(おおいや)というようなイメージがあります。
屋根も出雲大社・御本殿とは大きくことなり、千木がない坊主状態の簡素な板葺屋根の造りとなります。
大屋根の下には見世棚(みせだな)があり、おそらくこの棚に神饌(しんせん)を供進(きょうしん/おそなえ)するものだと考えられます。
なお、2003年(平成16年)にこの大歳社の社殿は再建されていますが、海風吹きすさぶ稲佐の浜付近の立地的であることから社殿の老朽化が著しく、2017年(平成29年)10月30日に遷座祭が執り行われ社殿が新しくなっています。
出雲大社・大歳社の謎の敷地
この大歳社に訪れた方ならば分かりますが、殿舎の規模のわりに境内が広大で、さらに芝生が植栽され、その周りを御垣が取り囲むといった何とも豪勢な造りの敷地(境内)になっています。
また社殿の他にもう1つ、今の殿舎が建っているような斎場のような敷地があり、石畳が整然と並び立てられています。
この謎の敷地は何の敷地かお分かりになりますかぃ?
伊勢神宮ではこの敷地は「古殿地(こでんち)」や「新御敷地(しんみしきち)」などと呼称し、次回の社殿の造り替え時には、もう1つの敷地に新しく社殿を建てるのです。
つまり、神様に用意する新しい社殿を建てるための清浄な敷地であり、禁足地(入ってはいけない場所)となります。
大歳社の社殿は平成16年に造替・遷座されていますが、出雲大社の建つ地は日本海に近いこともあり、塩害の被害も深刻です。
この大歳社の社殿も例外ではなく、年中、海風にさらされ老朽化が生じ、止む無く、平成29年10月30日に造り替え(遷宮・造替)が執り行われています。
大歳社の遷宮の儀式「遷座祭」
画像提供:出雲大社
10月30日の午前中に「清祓」、午後6時より遷座祭が斎行されています。
遷座祭ではまず、元の御社殿前にて宮司による祝詞が奏上され、その後、御霊代を出御し、神職一同の警蹕(けいひつ/「オー」という声のこと)とともに、新しい社殿へと遷座されています。
その後、新社殿のご神前にお供えものが供進され、宮司による祝詞奏上と、参列者の代表者による玉串拝礼がなされ、これを以って執り納められています。うきゃ
出雲大社・大歳社の場所とアクセス(行き方)
出雲大社から大歳社へ訪れる場合は、神楽殿から阿国寺→阿国の塔と抜けて、出雲手斧神社と展望台がある奉納山(ほうのうざん)から最終的に稲佐の浜方面へ進むと非常に良い流れで観光&参拝ができます。
大歳社へ参拝される方の多くはその奥に位置する「上の宮」への参拝目的の方が多いと思われます。
上の宮は何といっても出雲大社の最大の行事である「神在祭(かみありさい)」にて、神々の「神謀り(かむはかり)」と呼称される「縁結びの会議」が執り行われる会議室となる社であるからです。
そんなことから、神在祭以外の日でも少数ですが足をのばして参拝に訪れる方もおられます。
目印という言い方は大歳神に大変、失礼にあたりますが、是非!上の宮へ参拝される際は、この大歳社へも立ち寄り、一家の安全や家族の繁栄を大歳神に祈願してみてください。
出雲大社(勢溜の大鳥居)から大歳社までの所要時間・距離
所要時間:約16分(徒歩)
距離:約1.3m
大歳社から上の宮までの所要時間・距離
所要時間:約2分(徒歩)
距離:約130m
出雲大社・大歳社(上宮・下宮)の最寄バス停
一畑バス日御崎線「奉納山入口バス停」
一畑バス日御崎線「海岸入口バス停」
【補足】おすすめの観光モデルコース
阿国寺⇒阿国の墓⇒阿国の塔⇒出雲手斧神社⇒八大荒神社⇒大歳社(摂社)⇒上の宮(摂社)⇒下の宮(摂社)⇒稲佐の浜(御砂を採取)⇒屏風岩(大国主神の国譲り場所)⇒因佐神社⇒素鵞社(出雲大社境内/御砂をいただいて持ち帰る)