神在祭は旧暦10月10日の午後19時に「神迎えの儀式」が開始され、始まりのゴングを打ち鳴らします。クぁ〜〜ん
旧暦で言えば「10月10日~10月18日まで」が、八百万の神々が出雲大社に滞在する期間となります。
通常であれば神事というものは定まった日に行うものですが、神在祭は旧暦10月10日に執り行うことが定められているので旧暦で行う必要が出てきます。
旧暦は明治初頭まで使用されていた暦であり、現在はその改暦となる西暦が使用されています。
神在祭が例年、斎行される日が異なる理由はこのためです。
神迎えの行事
「神迎え」とは、旧暦の10月10日の夜19時、日本海から来訪する八百万の神々を迎える祭典(神事)です。
1955年(昭和30年)に百数十年ぶりに古式にのっとった儀式で復活されています。
行われる場所は出雲大社の西にある「稲佐の浜」です。
神職はこの日を迎えるために食べる物を慎み、沐浴して身を清めます。
そして稲佐の浜には祭壇が組まれます。
祭壇には燧杵(ひきりきね)で起こされた神火が焚かれ、周囲はこの神火以外、灯りがなく暗闇と静寂に包まれます。
祭壇には神々の依り代となる2本の榊(神籬/ひもろぎ)が奉納されて、神職によってご祈祷と祝詞が奏上されます。
こうして八百万の神々の御霊がこの2本の神籬にお宿りします。
稲佐の浜での神事が終わると、「2本の神籬」が純白の絹の布(絹垣)で覆(おお)われ、「龍蛇神(りゅうじゃしん)」の先導で出雲大社に向かいます。
龍蛇神とは後述していますが、八百万の神々を出雲の地へ案内するための海蛇になります。
龍蛇神は神在祭の時期になると、実際に稲佐の浜の浜辺に数多く流れつきます。
以上、この神迎えの神事をもって神在祭が開始されます。
神籬(ひもろぎ)とは?
神籬(ひもろぎ)とは、一時的に神々の御霊に、お宿りいただく「依り代」のことを言います。
通常は「榊(サカキ)の枝」が依り代として使用されます。
神道においての基本的な依り代とは、このような樹木が位置づけられています。境内にて御神木が祭祀されているのはそのためです。よって樹木の一種であるサカキは古くから神々が御霊を宿らせやすいと言うことから、神事には欠かすことのできない貴重な樹木となります。現在では一般家庭などでも広くお祀りされています。
出雲大社の神在祭では2本の神籬(ひもろぎ)を用意して、白い布で斉場を作り、神々にお宿りいただいています。
「神迎御幣」と「神迎御幣の配布時間」
神迎御幣とは?
「神迎御幣」とは「かみむかえごへい」と読み、これは「御幣(ごへい)」と呼称される、神道の祭典(神事)で使用される際の道具の1つです。
白い紙を折り合わせて編んだものを木に挟んだものです。
この「神迎御幣」は一般の参列者も稲佐の浜の入り口で頂くことができ、「神迎御幣」を手に持って神々と神職の方々と共に後ろからお供して出雲大社の境内を目指します。
神迎御幣の配布(お預け)時間:18:00から配布開始
配布(お預け)する方: 出雲大社の神職
出雲大社の神楽殿で開催される「神迎祭」
稲佐の浜での神事が終わると、今度は出雲大社の境内へ向かうために移動を開始します。
神々がお宿りした2本の神籬は「純白の絹の布(絹垣)」で覆(おお)われ、「龍蛇神」の先導で出雲大社境内の神楽殿へ向かいます。
そして神職とその後ろに一般の参拝者が続きます。
行列は静寂して進むのではなく、歩きながら「雅楽(ががく)」が奉奏され、幻想的でシュールな気配に包まれながら出雲大社境内へと向かいます。
また、本殿までの道は「神迎の道(かみむかえのみち)」と呼ばれる細い道を通ります。
神迎の道が細い道であるのは、あえて広い道を通らず、狭い民家の間の道を縫うようにして通るからです。
神迎の道
神迎の道はそのまま大通りである「431号線」を東へ向けて直進するのではなく、一旦、南下して「永徳寺(えいとくじ)」の周辺に位置する「永徳寺坂」という細い路地へ入ります。
そこから東へ直進して「勢溜の鳥居」を目指します。
つまりキャなり(訳:かなり)迂回して進むことになります。
- 神迎の道の距離:1.5Km
- 所要時間:約20分
勢溜の鳥居から神域に入ると参道を進み「神苑」を通過して「松並木の参道」を抜けて「銅鳥居」から境内(御垣)へ入ります。
境内へ入ると拝殿の前を左折する形で通過して東門の先に位置する神楽殿へと向かいます。
神楽殿では「出雲国造(いずもこくそう/=宮司)」以下、神職全員が整列して八百万の神々を出迎えます。
神楽殿で執り行われる神事
今度は神楽殿で到着した神々に楽しんでいただき旅の疲れを癒していただくための余興(巫女舞)が振舞われます。
宮司による祝詞の奏上(神々への祈り)、そして巫女さんによる「舞(御神楽)」が奉奏されます。
龍蛇神と神職の後に続いて行列に参加していた一般の方々も、ここで八百万の神々に拝礼することが可能になります。
拝礼は、「玉串拝礼(たまぐしはいれい)」によって神々に挨拶(拝礼)を行い、自らの存在を知っていただき、より良き縁とご利益をお授けいただきます。
そして、この神楽殿での神事が一通り終了すると神迎祭が終了となります。
この後、神々は翌日からの神謀り(会議)に備えて旅の疲れを癒すべく、お休みになられます。
神々がお休みになられる場所というのが境内に位置する「十九社(じゅうくしゃ)」になります。
十九社は境内の東西にありますので、神々を宿した2本の神籬(ひもろぎ)が、東西二手に別れて神職の案内のもと十九社へ向かいます。
こうして1日目が終了を迎えます。終了の時間は夜21時頃となります。
神在祭の関連記事一覧
十九社に関しては当サイトの以下↓の別ページにてご紹介しております。
この他、「神等去出祭(からかでさい)」前夜までの毎夜・午後19時から「夜神楽祈祷(よかぐらとくべつきとう)」が神楽殿にて執り行われています。
神在祭の日程(スケジュール)や内容については以下の別ページにてご紹介しています。
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